クボタ、農機・建機の在庫半減


クボタは主力の農機や建設機械で在庫の半減をめざした生産・販売改革に乗り出すと報じた。
今夏から国内約2500人の販売担当者に専用の携帯端末を配布し営業状況を即時に細かく把握することで、需要予測の精度を高めて生産や部品発注のムダを抑えるとしている。
需要が天候により変動しやすいため、在庫を余分に抱えがちだったのを改める。2015年末に約2千億円相当だった在庫を18年末に1千億円まで減少させるとのこと。

木股昌俊社長就任以降、全社で注文から顧客への納入までの過程を見直す作業を進めてきた。
その成果を反映し「クボタ・プロダクション・システム(KPS)」と呼ぶ新生産方式を今春から本格的に導入。
農機で主力の筑波工場、輸出用建機も生産する堺製造所など国内4カ所の主力拠点が中心となる。

農家の需要や景気の動向を素早く把握して生産に反映すること。
系列販社に専用のタブレットを配布して、販社の営業担当者がその場で細かな情報を入力できるようにし、
本社で営業現場の状況を早い段階から把握し、工場で具体的な生産計画をつくることができる体勢をとる。

農家への営業はこれまで紙のパンフレットを使うのが基本だったが、タブレットを導入して農機を動かす動画で見せ、購入意欲を高める。
将来はその場で発注もできるようにする。

需要予測の精度を高めることにより、売れない製品の生産を取りやめ、生産品目の変更時に必要な「段取り替え」と呼ぶラインの変更作業を減らす。
必要な部品を必要な時期に調達する「ジャストインタイム」や生産の自動化も進める。

クボタ国内の農機や建機事業では、15年末に主力工場や販社の在庫額が2千億円程度あった。年間の連結売上高の1割を超える水準。

生産・販売体制の見直しで在庫を削減できれば財務体質の改善が見込める。
18年末に納期を従来より1カ月短い最短2カ月程度とすることもめざす。

クボタは過去10年で連結売上高が7割増となった。海外売上高が約7割に達する一方で、海外の生産比率は約3割にとどまっている。
16年12月期の連結純利益(米国会計基準)は1550億円で過去最高になる見通し。

海外でも販売現場からの情報などを生かした生産改革に取り組む。
北米では今年初めに米国ジョージア州で建機の生産を開始。
17年3月には米国3カ所目となる新工場で農業・建設兼用の多目的四輪車の生産に乗り出す。
日本で培ったノウハウを東南アジアの主力拠点であるタイなどでも早期に導入し、在庫削減や工期の短縮でコスト競争力を高める。